事務所ブログ

2016年11月29日 火曜日

課税処分取消訴訟と過納金返還請求の関係について

 柏の弁護士の山田です。

 課税処分取消訴訟と過納金返還請求の関係について、文献や裁判例を調査したので、備忘録も兼ねて、掲載します。

 課税処分が違法である場合、課税処分の取消訴訟を提起するのが一般的です。取消判決が出れば、取消判決の拘束力により、行政庁は、是正する措置をとる義務を負うことから(行政事件訴訟法33条1項)、当該納税者が既に納付済みの場合は、過納金を返還することになります。このため、一般的には、課税処分の取消訴訟を提起すれば足りるため、実務上も、課税処分取消訴訟のみを提起するのが大半です。

 これに対して、理論的には、行政事件訴訟法13条1号で、取消訴訟の関連請求として、「原状回復請求」が規定されており、同法16条1項で取消訴訟との併合請求も可能とされており、課税処分の効力が失われることによって発生する過納金返還請求(公法上の当事者訴訟)も、この原状回復請求に該当すると解されています(なお、13条6号とする説もあるようですが、過納金返還請求は取消判決を先決として金銭的な原状回復を求めるものであり、1号に該当するとするのが相当です。)。このため、課税処分取消訴訟と原状回復請求としての過納金返還請求を併合提起することも理論的には考えられ、実務上も、併合請求をする例も全くないわけではありません。
 もっとも、課税処分は行政処分であり、行政処分には公定力があることから、過納金返還請求権は、取消判決が確定することによって初めて発生する請求権であり、このような併合請求を認めることは、行政処分に公定力があることと抵触するのではないかという疑問も生じ得ます。
 しかし、前記のとおり、行政事件訴訟法16条1項において、取消訴訟に関連請求としての原状回復請求を併合することが予定されていることから、このような併合請求も適法であり、むしろ、紛争の一回的解決からは、そのような併合請求を積極的に肯定する必要性すらあります。
 なお、財産上の請求の場合、仮執行宣言を付すのが一般的ですが、取消訴訟に併合されている原状回復請求としての過納金返還請求については、行政処分に公定力があるとされていることとの関係で、仮執行宣言を付すことは性質上できないと解すべきで、このように解釈することにより、行政処分の公定力に抵触することを回避することが可能なのではないかと思います。課税処分の取消判決と過納金返還請求を認めた裁判例として、東京地裁昭和26年4月23日判決(行政事件裁判例集2巻6号841頁)、東京地裁昭和46年6月24日判決(判例時報634号6頁)等がありますが、いずれも、財産上の請求である過納金返還請求についても仮執行宣言を付していません。

 また、過納金返還請求権は、課税処分の取消判決の確定によって初めて発生することから、取消判決確定前にこれを求める訴えは一種の将来給付の訴えといえるため、民事訴訟法135条の必要性があるかも問題となり得ます。
 しかし、取消訴訟と併合して提起する場合は、その必要性が肯定されるとする裁判例として前記東京地裁昭和46年6月24日判決(判例時報634号6頁)があり、参考になります。


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投稿者 山田智明弁護士

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