事務所ブログ

2014年11月26日 水曜日

衆議院選挙差止訴訟の訴え却下

 柏の弁護士の山田智明です。本日,行政法上,興味深い記事を見つけました。

 「「1票の格差」訴訟を起こしてきた山口邦明弁護士らのグループが、格差を是正しないまま来月14日に衆院選を行うのは違憲として国に差し止めなどを求めた訴訟で、東京地裁(増田稔裁判長)は26日までに、「選挙差し止めに関する法律の規定はなく、訴えは不適法だ」として請求を却下した。併せて行った仮差し止めの申し立てなども同様に却下された。いずれも21日付。 」(時事通信11月26日(水)13時1分配信から引用)

 この訴訟は,訴状をみていないので推測になりますが,行政事件訴訟法に規定されている「差止めの訴え」や「仮の差止め」の規定を根拠に提起したものと思われ,講学上,自らの法的利益の回復を求める「主観訴訟」と分類されております。

 一方,選挙訴訟は民衆訴訟(自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起できる訴訟)であり講学上「客観訴訟」と分類されているおり(民衆訴訟については,行政事件訴訟法42条で,「法律に定める場合において,法律に定める者に限り,提起することができる。」とされているところ,公職選挙法には,選挙訴訟の提訴が可能とされていますが,事前の差止め請求の根拠規定はありません。),現行法の解釈としては,不適法という判断は,やむを得ないのではないかと思います。最高裁も,2年前の解散総選挙の際の同種訴訟で,平成24年11月30日付けの決定で,本案の差止め訴訟について,次のような判断を下しております(仮の差止めについても,同日の決定で,本案が不適法なので,仮の差止めも不適法という趣旨の判断をしています。)。

「 民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは,民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ,本件上告理由は,違憲をいうが,その実質は単なる法令違反を主張するものであって,明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。
 なお,本件訴え(衆議院議員の選挙に関する内閣による助言と承認等の差止め及び内閣による法案提出の義務付けを求める訴え)は,選挙に関する民衆訴訟(行政事件訴訟法5条)として提起されたものであるが,民衆訴訟は,裁判所法3条1項の「法律上の争訟」ではなく同項の「その他法律において特に定める権限」に含まれるものとして,「法律に定める場合において,法律に定める者に限り,提起することができる」ものとされており(行政事件訴訟法42条),国会議員の選挙に関する民衆訴訟について,公職選挙法の定める選挙無効訴訟等の訴訟類型以外に,本件訴えのような選挙に関する差止め又は義務付けの訴えを提起することができる旨を定める法律の規定は存しない。そして,上記のような民衆訴訟の性質等に照らせば,民衆訴訟として法律の定めを欠く訴訟類型が,法律上の争訟である抗告訴訟に関する法律の規定又はその趣旨の類推により創設的に認められると解することはできないから(このことは,法定の訴訟類型である選挙無効訴訟において無効原因として主張し得る事由の範囲の解釈とは事柄の性質を異にするものである。),現行の法制度の下において,本件訴えは不適法であるといわざるを得ない。」

 しかし,立法論としては,選挙訴訟についても,差止めの規定を加えた方がよいのではないかと思います。実際,現行法上も,客観訴訟・民衆訴訟という意味で選挙訴訟と同種の住民訴訟においては,差止めの請求が可能です(地方自治法242条の2第1項1号。なお,住民訴訟の差止めを本案とする仮処分については,同第10項の規定により,不適法となると思われます。)。

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投稿者 山田智明弁護士

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